パヴィヨン・アンリ４世

今回のパリ滞在では市内の雑踏を避けながら少し趣を変えて、パリ郊外いわゆるイル・ド・フランスで気の効いたホテルに泊まりたいと思って、パヴィヨン・アンリ４世を選びました。所在地はRER(高速郊外鉄道)のＡ１線終点サン・ジェルマン・アン・レー駅下車、徒歩５、６分程度でしょうか。パリ中心部のメトロから乗車してホテルまで３０〜４０分程で、手頃な距離と時間でした。

サン・ジェルマン・アン・レー城	撮影時には、オープンカフェも夕方から降り出した雨のために、人影も見えない。	サン・ジェルマン聖堂

地下のアン・レー駅から地上に出ると、午後９時近くの美しい黄昏時です。目の前には突然、ライトアップされたサン・ジェルマン・アン・レー城とマドレーヌ教会に似たサン・ジェルマン聖堂、そして多くの人で賑わうオープンカフェとレストランが飛び込んできます。ちょっとびっくりしながら、城壁に沿ってホテルへ向います。

左手にはセーヌ川が流れる。	サンジェルマンの森（旧アン・レー城の敷地、現在は公園）とホテルの間の通用門から見たホテル	ホテルの正面エントランス（ホテルの正門は別にあります）

このホテルは旧アン・レー城の広大な敷地の一角にあります。アンリ４世によって建てられた城館で、ルイ14世が生まれた館ですが、文豪デュマが「三銃士」などを書き上げた場所としても有名です。現在四ツ星Ｌ、４階建て客室数46（スイートルーム４室）のホテルです。ホテルは、眼下にゆったりと蛇行するセーヌ川や緑に囲まれた高級住宅街を見下ろす高台にあり、遠くにはラ・デファンスの高層ビル群やエッフェル塔、サクレ・クール寺院、ブローニュの森が遠望出来ます。

遠方左側はラ・デファンスの高層ビル群。遠方右側の丘はブローニュの森で、丘の後ろにはエッフェル塔が見える。サクレ・クール寺院は判りにくい。手前にはセーヌ川と、それを渡る橋が見える。

ホテルのグランドフロアーはレストラン、廊下、フロント・厨房などの3列に分かれています。レストランはパリを眺めるテラスサイド、フロント・厨房はホテル庭園を見るパークサイドにあります。レストランと廊下は長さ約50ｍにわたって壁のないぶち抜きの構造です。 　廊下には大型のシャンデリアが多数連なり、ベルサイユ宮殿の鏡の間を連想させるような造りです。レストランはさすがに簡易の仕切りで4ブロックに区切られていました。ロビーに連なる一室は、ルイ14世のミニ博物館です。 　またオープンカフェを兼ねたテラスがあり、朝には霧に煙るセーヌ川、午後はパリ市街地の鮮明な遠望が、黄昏には幻想的な眺めが見られます。近くに住むマダムでしょうか、犬を連れて朝食にやって来ます。

今回は一人旅でしたので、スタンダード・ダブルのシングルユースで、テラスサイドではなく、パークサイドです。パリ中心部のホテル代を考えると、たいへんお安くなっています。 　この211号室の部屋は十分広く、大きなシャンデリアがあり、調度品には古さを感じさせますが、華美な装飾はありません。バスルームのバスタブ、シャワーブース、トイレ、ダブルシンクの洗面所も水回りは問題ありません。

朝食は、各種パン、ハム、チーズ、ヨーグルト、ジュース、コーヒー、紅茶などで、ミネラルウォーターはありません。メニューはやや寂しく、パンは美味しくありませんでした。朝食時の状態からは、宿泊客は数組程度と少ないようでした。

夕食は、食前酒のロゼのシャンパン、つき出しの卵風味ゼリー、前菜のオイスターのラザニア包みホワイトソースかけ、主菜のかなり大きなビーフ・フィレット、ポテトの薄皮揚げとハーブ添え、そして赤ワインのハーフボトル、コーヒー、エビアンで、約100ユーロでした。美味しく頂きました。夕食には予約が求められ、週末は多くの人が食事に来ていました。

季節によるのかもしれませんが、今回ホテルのスタッフは最小限しかいないので、ジャンキーズ好みの濃厚なサービスは無理と言うか、むしろサービスは良くありません。 　しかしパリ郊外の落ち着いた上品な街の雰囲気に加えて、ブルボン王家の城館の雰囲気とテラスからのパリの展望が秀逸です。 　ヴェルサイユ、マルメゾンも近く、駅前からバスも出ています。アン・レーの観光スポットにはサン・ジェルマン・アン・レー城（国立考古学博物館）と庭園、プリウレ県立美術館（フランス象徴主義の画家モーリス・ドニの旧アトリエ）、作曲家ドビュッシーの記念館があります。また周辺の高級住宅街も一見の価値ありです。

CONTAX 645 P80mm F2 / Fuji PN400 CONTAX TiX S28mm F2.8 　　　　　　作成日　2006年 07月 01日、　最新更新日　2008年08月31日